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 番外編1・気持ち

 昇がドアの前の雪をはね、何とかドアが開いた。急いで薪ストーブに薪をくべると、アリアを抱きかかえそのままログハウスに入るが、部屋はまだかなり寒かった。

「暖まるまで時間がかかるな」

 アリアを薪ストーブのそばにあるソファの上に降ろし、奥の部屋から毛布をもってきて体を包んだ。

「常備薬の解熱剤があるはず。持ってきて・・」

 指し示された戸棚の引き出しから錠剤を見つけ、水と一緒に持っていった。

 錠剤を口に入れる時、アリアの唇が昇の指先に触れ、昇は思わずさっと手を引っ込めてしまい、錠剤が床に落ちた。

「ごめん」

 昇は慌てて拾うと、アリアに薬を手渡した。

 ――俺も熱が出そうだ・・。

 また不謹慎な考えが頭をもたげ、軽い眩暈に一瞬目頭を抑えた。

「どうしたの?」

「いや、なんでもない」

「・・寒い」

「まいったな、熱が高くなってきたのか」

 湯たんぽを足元に置き、アリアの背中をさすっていたが、アリアの悪寒は止まらない。

「そばに来て暖めて」

「……」

「それが一番暖かいから」

 昇は緊張した面持ちでコートを脱ぐと、アリアを抱きしめ、毛布を巻いた。

「これでいいのか」

「ありがとう」

 アリアの少し荒い息遣いがすぐ側で感じられ、昇は何か話していないと頭に血が上りそうだった。そんな昇の感情をよそに、アリアは昇の背中に腕を回しぎゅっと抱きついた。

「暖かい」

「っとお、今部屋も暖まってきたし、薬も利いてきたかな、大丈夫だ」

 昇はアリアに、早くなっている自分の鼓動が聞こえそうな気がした。

「もっと他にアジトはなかったのか。こんな辺鄙なところ」

「ここじゃないとだめだから」

「やっぱりヒロの指示か?」

「うん。・・ごめんね、私といたらまた十無に怒鳴られるね」

「病人を放っておけないだろ」

「昇は優しいね。十無とは大違い、外見はそっくりな双子なのにね。でも、容疑者に優しくする刑事なんていないか」

 ――それは違う、十無もアリアのことが好きで、会うと感情を抑えられないから避けているだけだ。十無は刑事だから・・。昇はそう頭の中で言うのが精一杯だった。

「う、やばい。ちょっと、」

 アリアの足が昇の下半身にぶつかり、昇は慌てて離れようとした。

「あの、これはだな、生理現象だ。誤解するな」

 昇は顔が真っ赤になった。

「うん・・」

「はは、お前冷静だな。俺は、きっと欲求不満だな。彼女もいないし、お前、女みたいだから」

 もう自分で何をいっているのかわからないくらいかっとなっていた。

「じゃあ、今度御礼に一日だけ彼女になってあげる」

「な、からかうなよ、お前男なんだろう」

「女にもなるよ」

「そりゃ、女装だろ」

「いやならいい」

「全然嫌じゃない!って、その……」

 昇は慌てて否定してから、とんでもないことを口走ったと後悔した。

「じゃあ覚えておくね」

 悪寒は治まったが高熱でもうろうとしながらも、アリアは悪戯っぽく微笑んだ。昇の頬にアリアの髪がさらりと触る。

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