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番外編2・雪夜幻想(原稿用紙21枚分)
   1・山荘
  *十無&アリア

「昇と十無って仲がいいよね、喧嘩なんてしないでしょ」

 寒いからとカル―アミルクを飲んだのがいけなかった。疲れのせいもあってか、酔いがいつもより急激にきているとアリアは自分でも思った。しかし、口が軽くなっているのはすでに自制できない状態だった。

「そんなことはないよ」

 十無はいつもに増して口数が少なくなっていた。何者かに狙われている、旭川近郊の山奥にあるログハウスにアリアが一人で留まっているから、俺が行くまで目を離さないでほしいと、ヒロが初めて十無と昇に助けを求めてきた。数日前、ヒロはある事件で事故に遭い足を骨折していたが、心配するからとアリアにはそのことを隠し、アジトの一つで静養しているとのことだった。

「ヒロはねえ、秘密主義でさ、何にも教えてくれない。いつも子ども扱い。そんなに頼りないかなあ」

 暖炉のそばのソファにうずくまり、カルアを一口飲みながらアリアはつぶやいた。

「だって子供じゃないか」

「十無までそういうことを言う」

 ふくれっ面をしてそう言ったアリアを見て、可愛いいと思い、十無は抱きしめたい衝動に駆られた。が、辛うじてアリアの横から立ち上がり暖炉に薪をくべた。自分は酒を飲んでいなくて良かったと思った。飲んでいたらきっと、酒のせいにして過ちを犯してしまったかもしれない。

 夜中十二時を過ぎていた。外は雪が降っていて、やけに静かであらゆる音が雪に吸い込まれているようだった。十無は自分の鼓動がアリアにも聞こえているのではと思うくらいにどきどきしていた。

 ふとアリアを見るとソファにもたれて居眠りをしていた。

「おいアリア、ベットで寝ろよ。風邪を引くぞ」そっと声をかけ肩をゆするが、うんと言ったきりまたそのまま眠ってしまった。

「参ったな」

 迷った挙句、十無はアリアを抱きかかえて寝室へ連れて行くことにした。前から華奢な体つきだとは思っていたが、実際に抱きかかえるとそれがよく分かった。

「じゃあな、おやすみ」ベットに何とかアリアを寝かしその場をさっさと離れようとしたが、アリアがするりと十無の首に手を回し、「ヒロ」と呟いた。ヒロと一緒に寝ているのか。その考えが一瞬頭をよぎると、今まで抑えていた何かが崩れてしまった。

 十無は気がつくと、アリアに口付けをしていた。

「十無……」

「ごめん、俺、なにを」

 曖昧な表情を浮かべ戸惑うアリアを見て十無は我に返り、どうしていいかわからなくなってしまった。

「今のこと、忘れてくれ」

 そう言って部屋を出て行ってしまった。

「忘れていいの?」ベットに横たわったままアリアはぽつりと言った。

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